“社会”を作るために、“会社”を作る ボーダレス・ジャパン田口氏 vol.1

 
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2018年11月8日。ZEPPELINはある人物を訪ねるため、福岡市を訪れていた。

昨今、日本ではスタートアップムーブメントが加速しているが、実は福岡市『グローバル創業・雇用創出特区』として、日本のスタートアップシーンを牽引している、今もっとも活気のある場所なのだ。

そんな熱い空気を、街のどことなく雰囲気で感じ取っていると、

「お待たせしました!」

お世辞でもかっこいいとは言えないママチャリに乗って現れたのが、今回の取材相手、

株式会社ボーダーレス・ジャパン 代表取締役社長 田口一成氏だ。

 
 
ママチャリに乗る田口氏

ママチャリに乗る田口氏

 
 

笑顔でそう言う彼には、まるで少年のような、しかしながら目の奥にはしっかりと芯の通った経営者の顔が伺える。

田口氏の率いる株式会社ボーダレス・ジャパンは、「ソーシャルビジネスを通して世界を変える」をミッションに、日本にとどまらず、今や海外にも数々の拠点をもつグローバル組織としてビジネスを展開している。

そんな巨大な組織を束ねる田口氏に、創業当初から現在に至るまでの様々なことを聞いてみた。

 

▼プロフィール

 
 
株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田口一成   1980年福岡県出身。ワシントン大学留学後、2004年早稲田大学商学部を卒業。  大学2年時に、発展途上国で栄養失調に苦しむ子どもの映像を見て「これぞ自分が人生をかける価値がある」と決意。25歳で株式会社ボーダレス・ジャパンを創業。  2017年度は年商43億5,000万を達成し、「貧困」「差別偏見」「環境問題」など社会問題を解決する20を超えるソーシャルビジネスを日本・韓国・台湾・バングラデシュ・ミャンマー・グアテマラ・ケニアで展開中。

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田口一成

1980年福岡県出身。ワシントン大学留学後、2004年早稲田大学商学部を卒業。

大学2年時に、発展途上国で栄養失調に苦しむ子どもの映像を見て「これぞ自分が人生をかける価値がある」と決意。25歳で株式会社ボーダレス・ジャパンを創業。

2017年度は年商43億5,000万を達成し、「貧困」「差別偏見」「環境問題」など社会問題を解決する20を超えるソーシャルビジネスを日本・韓国・台湾・バングラデシュ・ミャンマー・グアテマラ・ケニアで展開中。

 

 

持続可能なソーシャルビジネスとは?

その実態に迫る

 
 
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ビジネスの基本は一緒。誰がやるかの役割の問題

―ソーシャルビジネスって、事業として継続することが、普通のビジネスに比べて難しそうに見えます。どう継続・拡大していくのでしょう? 

まずソーシャルビジネスって、ビジネスの難易度が少し上がるだけなんですよ。

普通のそれに比べて。

資本主義社会って、誤解を恐れずに分かりやすく言うと、効率の世界なんですよね。

例えば、農業をやろうかと言ったときにどうするか?消費地に近い、平地で、川のそばにあって水がすぐ引けて、面積が広くて、トラクターでガーッとやれちゃうところでやりますよね。わざわざ、山間地域の入り組んだところの段々畑に行ってやらないですよね。すると、後者は放置されたままになってしまう。

資本主義は、効率というコスト競争の世界なので。それであぶれたものが結果、その山間地域の問題とか、過疎の問題であったりとか、社会問題化して出てくるんですよね。

 けど元をただせば、原因は経済の仕組みにあるので、非効率なものを含めての経済の仕組みを作らないといけないんです。

 

―経済の仕組みを根底から支えているんですね。

だから僕はソーシャルビジネスがいいと思った。非効率な人も含めて、ビジネス、経済という枠組みで、誰か作っていく人がいてもいいんじゃないかなという。なので、やることはあくまでもビジネスなんですよね。

 

―ちなみにZEPPELINの新しい事業は「効率面でも世界一」を目指そうとしています。それでこそユーザーは使ってくれるのがソフトウェアサービスの世界ですので。田口さんのビジネスとは真逆ですね(笑)。

それでいいんですよ。それで世界が良くなっていくから。すべては役割分担だと思っている。プロが集まって、プロの世界でやる人たちも必要。ただ同時に取り残されていく人も、当然ながら同時にいるんですよ。表裏一体というかね。

 

―なるほど。役割の問題なんですね。

でも枠組みとしては、ビジネスなので一緒ですよ。

例えば、僕が運営する工場の場合は、障害者を雇っているので作業効率やサポート人員など、どうしても製造単価が上がる。だからコスト競争では勝てないから、自分でお店を持って直接売ったり、みんなよりもちょっと高く売るような商売のやり方でやらないといけない。

じゃあ、そのためには何をすればいいのか?というのを考えるので、難易度が少し上がる。その分スキル、ビジネスマンとしての腕が問われるというだけ。

だから、やっているのは決して特別なことでは無いです。

 
 
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成功の秘訣はとにかく続けること

―ではそれを、どうビジネスとして成功させていくのですか?

“続けるかどうか”です。

ずっと続ければうまくいくんですよ。うまくいくかどうかというのは、やめるかやめないかといったほうが良くて。

やめなかったら、いつかうまくいくんですよ。やる人によって程度の差はありますが、続けていれば。

これがおそらく、事業の実態だと思う。

 

―意外と成功の要因って、地道なことなんですね。

ソーシャルビジネスは、実は逆にうまくいく要素が強いと思っています。

なぜかというと、やる目的がはっきりして事業を始めるからです。成長マーケットがあるからとか儲かるとかじゃなくて、この困っている人を何とかしたいとか、この環境問題をどうにかしたい、そういうところで始めていく。だから、多少うまくいかないからといって途中でやめたくはないんですよ。

その上で、ボーダレスは細々とじゃなく大胆にトライできるように、資金やマーケティングなど様々なバックアップ体制をつくっています。

 

―続けられる仕組みも、しっかり整えてらっしゃるんですね。

僕らがやっているビジネスは、社会を変えるという目的のための「手段」に過ぎません。

そこの「手段」を間違うときがあって、間違ったら別の手段にすぐ切り替えるんですよ。

僕らはそれを社会ソリューションというふうに考えている。社会ソリューションを作っているので、多少うまくいかなくても、社会のためには続けたほうがいいじゃないですか。だから社会ソリューションづくりのためにはお金もどんどん供給する。

普通のビジネスって、社会のためとかいいながらも、やっぱりどこかでビジネスアイデアから入ってるんですよね。だけど、僕らの場合は、最初からビジネスプランを作っちゃ駄目なんですよ。

最初にソーシャルコンセプトを作るという決まりがあるんです。社会のこういう現状、こういうことが原因で、こういう状態になっているという、本質的な社会の原因をしっかりあぶり出す。

その社会問題の原因に対する対策として、社会ソリューションを考えていく。つまり、どういう社会をどうやって作るのか、というソーシャルコンセプトシートを書く。それを書くまで、僕はビジネスの相談に乗らないんですよ。

社会を作るために会社を作る、ここがスタートでないといけないです。

 
 

―”社会を作るために、会社を作る。” 会社を作るのはあくまで、社会を良くするための「手段」ということですね。今って結構、ビジネスアイデアだけが斬新なものが増えてる気がします・・

そうなんですよ。会社がつぶれていく理由はそこなんですよ。アイデアベースでやると危ない。

アイデアなんて所詮は机上の空論なんでやってみないと分からない、コロコロ変わってもいいんですよ。というか、アイデアだけではうまくいかない。

だから、そこを越えたビジョンを作ってから、手段としてのアイデアにしておかないといけない。そうでないと、当初のビジネスアイデアがうまくいかなかった瞬間立ち止まってしまう。

 
 
 
 
 
 
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