イノベーティブなサービスを高速で生む組織づくりとは Vol.1

 
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崩壊しかけの組織から、イノベーションが生まれるまで

鳥越 中島さんはアジャイル開発センターの前はどこにいたんですか?

中島 コンシューマー事業本部で商品の企画をやっていたんですよ。でも、商品を出すまでにすごく時間かかっていて、商品が出たころには、世の中の需要が変わっていて必要性がなくなっていたり。環境変化に適応できるような組織になってないことは感じていましたね。

鳥越 もっと素早く企画を回せる仕組みを作ろうというのが、このアジャイル開発センターの設立背景?

 
 
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中島 そうです。今までの組織だとイノベーションもなくなるから「ディスラプション(破壊)しろ」ということで、今のプラットフォーム開発本部に行けと言われたんです。壊すことはリスクだけど、社長にもやれと言われて。

で、やっぱり知りたくなるじゃないですか。自分が行くのはどんなところだろうって。そこでさりげなく数ヶ月間通ったんですが、何が分かったかというと、コミュニケーションがない組織だということ。5つの部署があって400人ぐらいはいるんですけど、横のコミュニケーションがなくて静かなんですよ。

中でも致命的だと思ったのが、朝「おはよう」と言っても、100人中3人ぐらいしか答えてくれない。そのコミュニケーションの悪さが開発スピードを妨げているから、まずコミュニケーションをよくしなきゃいけないなと思いましたね。

 
 
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外に向けて発表することで、上層部と改革の必要性を共有できるはず

中島 プラットフォーム開発本部に来て早々、「アジャイル開発センターを作りたい」と言ったんです。すると「今の段階でアジャイルなんてできるわけがない」というのが、社内の反応で。

そこで組織の構想やビジネスモデルを説明したら分かってはくれたけど、今度は「通信事業者がアジャイル開発センターみたいな組織を作って、何かメリットがあるの?」って言うんです。「スロースタートで、着実にできる環境を作ってからの方がいいんじゃないの?」って。

 そこも一理あるんですよ。ゼロベースでスタートするのはきついですよね。でも僕は反対したんですよ。

鳥越 その理由は?

中島 社内には、アジャイルが何かすら分からない人もいたからです。そこで社長に言ったのは、社外に向けて「アジャイル開発センター」という名を出した瞬間に何が起こるかということ。

例えば、ボードメンバーはIT企業のトップの方々と話す中で、「なぜこのタイミングでアジャイル開発センターを作ったのか?」「どういったイノベーションを考えているのか?」を問われることになる。そうなると、企業としてその問いに答えるため、ボードメンバー自らが知識を深めてくれるだろう。そのうえで、我々に協力してくれることを期待したいと伝えたんです。

僕1人がボトムアップで組織を変えることはできない。だから、社外に向けて説明するプロセスで、会社の上層部と組織改革の必要性を共有したい。アジャイル開発センターがその役割を担ってくれるはずだと言ったんですよ。

鳥越 やっぱり知ることから始めないと人は変わらないですよね。でも、アジャイルという言葉も知らない方にどう伝えたんですか?

中島 社内で「アジャイルって何だ」と言われた時に、「吉野家の牛丼だ」って言ったんですよ。「早く価値を提供する」という意味では、そう言った方が知らない方には分かりやすいかなと。

鳥越 効率的ですね(笑)。

お客さまと真剣に向き合う時、イノベーションが起こる

中島 アジャイル開発センターも2年経ってだいぶ変わりましたよ。”テッキー”(ハイテク技術者)たちが、「お客さまと接することの価値」を知り始めています。新しいイノベーションは、お客さまを知り、お客さまにとっての価値をどう体現できるかを目指す中で生まれるってことに、組織の人間が気付き始めたのです。

鳥越 テクノロジーを扱えるってすごい強み。でもそれが故に、テクノロジーばかりが意識を占めることが多いですよね。ハイテク技術者が、ユーザーが本当に求めているものを知り、その技術とニーズが融合した時には、ものすごく力を発揮すると思います。

中島 ただ、お客さまとテッキーの間って、また違ったコミュニケーション能力がいるじゃないですか。エンジニアって良くも悪くもハイテク技術者だから、お客さまの言うシンプルなUIはスッと作れないんですよ。

 
 
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鳥越 エンジニアもデザイナーも、機能ベースでは考えてることは一緒なんです。ただ、その機能をどう見せるかの優先順位が違う。だから、コミュニケーションの軸にお客さま、あるいはアジャイル開発センターみたいな区分があればいいですよね。

中島 そう、あくまでも中心はお客さまなんですよね。お客さまが求めるものをトータルに実現するためのアーキテクトもいれば、Javaをひたすら書く人、DB構築する人もいて、その全員がお客さまを中心にコミュニケーションを取ることが重要。

アジャイルの場合はそこに「スクラムマスター」というキーマンがいるんです。全ての工程をマスターとしてやる人材で、やっと4人できたんですよ。それが嬉しくて、会うとすぐ「嬉しいぜ」ってハグするんですけど、嫌がるんですよね。「照れるじゃないですか」って(笑)。

スクラムマスターっていろんな経験が必要で、Javaも書けばコーディングもDB構築もネットワーク構築もできて、トータル的なアーキテクトもできてというふうに、育成にはだいたい4〜5年かかるんですよ。でも、5人同時スタートすると1人は必ず残ります。

その育成の中で早いのが「話すことが好き」な人。ある意味、無駄を好む人っていうのかな。アイデアってけっこう無駄な時間から生まれるから、それはすごい「能力」で。無駄な時間を持つ余裕がある人って、お客さまとのコミュニケーションの中で気づきも早いと思うんですよ。

 
 
 
 
 
 
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