自分の人生をデザインしよう. Design denmark CEOの成功の秘密

 
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日本とデンマークをつなぐクリエイティブエクスチェンジ2018

 
 

日本とデンマークをつなぐクリエイティブエクスチェンジは「ayanomimi」が主催する4日のツアー。デンマークデザイナーが東京のデザイン会社を訪問して、深い知見とディスカッションの機会を提供する。日本のデザインシーンや市場との間に架け橋を作り、新しいコラボレーションを生むことを目的としている。
https://ayanomimi.com/

株式会社良品計画、隈研吾建築都市設計事務所、日本デザインセンターなどに加えて日本を代表するデザイン会社の一つとして、ZEPPELINにもご訪問いただきました。

今回はツアーの主催者であるDesign denmark CEO Abelone Varming 氏に、日本とデンマークのデザインに対する意識。また、彼女がZEPPELINを訪れて感じたZEPPELINの魅力について語っていただきました。

 
 

Abelone Varming デンマーク・コペンハーゲン在住。1997年デンマークデザインスクール卒業。ビジュアルアイデンティティ、ブランディング、グラフィックデザインを手掛けるpunktumdesign.dkにてパートナーを務める。デンマークのデザイナーおよびデザインファームが所属する団体であるDesign denmark のCEOを務める。

Design denmarkはデンマーク最大の独立系デザイン界団体でありビジネス領域、社会全体においてデザインを促進することを目指して働く、デザインを考え実践する集団である。またデンマーク・デザイン・アワードを共催している。
www.designdenmark.dk
www.danishdesignaward.com

 
 

 
 

デザインとは意味を与えること

ーはじめまして。当社オフィスにお越しいただき、またお時間をいただきありがとうございます。

こちらこそ素晴らしい機会をありがとうございます。

ーDesign denmarkはビジネスデザインを含めた様々なデザイン領域のエキスパートのみなさんがおり、国内・海外の両方で仕事をされています。そこで早速最初の質問ですが、そんなデザイナーのみなさんの価値観を教えていただけますか?

それは人によって違います。Design denmarkには世界の15都市から600人のデザイナーがいて、学生や何千人もの従業員がいる会社も所属しています。

みんな違っているのですが、それぞれが自由であるということについては全員共通しています。それが仕事をしていく上でとても重要なことだた思っています。

加えて東京でデンマークにいるような体験を昨日したんです。あるデザイナーの方がご自宅でのランチに招いてくださったのですが、まるでデンマークにいるような、家にいるような感じがしました。

すべてが意図をもって選ばれていて、すごく小さなものにも意味があるのです。彼らがしてくれたことは、自分の日々の生活をつくるということです。そしてそれは同時に私たちDesign Denmarkのデザイナーがとても得意としていることでもあります。

自由と、自分たちの生活をつくるということ。これこそ私たちのライフスタイルと言えるのではないでしょうか?

ーデザイナーが自分の日々の生活をつくるとき、みなさんは身の回りにある何気ないものに意味を与えるということをしているのではないでしょうか?ご飯を食べることの意味を考えるととても深く豊かなものが得られるような気がします。そんなことをしているのではないか?と想像しました。

その通りです!私たちデザイナーはものに意味を与えます。これは私たちのウェブサイトにも書いていることなのですが、デザイン自体がものに意味を与えるということを信じているんです。

ーものに意味を与えるということをもう少し詳しく聞かせてください。デザインはどのようにしてものに意味を与えるのでしょうか?

デザイナーは、目的に向けて取捨選択し、ユーザーの感情を目的まで運んでいく役割を果たす人だと思っています。「デザイン」という言葉の意味はつくって組み合わせるという意味です。

これまでなかったような組み合わせや見方によって、新しい意味をデザイナーはつくり出すんです。

ライフスタイルについて先ほど質問をいただきましたが、デンマークのデザイナーは日々自分がつくりだすサービスのことでいつも頭がいっぱいだと思います。仕事を休んでいる状態というのはない。

言ってみれば、24時間ずっと仕事なのです。そしていつも生活をデザインしているのです。こればっかりは止められません。

こうして話しながらも、向こうを見ながら、向こうの地面は平らなのに、真ん中に溝があって、また平らになっていて。それでちょっとイラッとして自分に尋ねるのです、「どうしてずっと平らじゃないのかしら?」って(笑)。

私はいつもそんな風にものを見ているのです。それが意味を与えるということだと私は思います。

 
 
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「もっとよくできる」という姿勢こそデザイナーである

ー色々な角度や色、動き、形を見るのですね。とても興味深いです。

行動やサービスも、同じように小さなところを注意して見ますよ。私はグラフィックデザインを勉強し30年間ビジュアルコミュニケーションの領域で仕事をして、半年前にDesign denmarkのCEOになりました。

もうプロダクトやロゴやイラストの仕事はしていませんが、まだデザインには関わっていて、人の関係性や共通認識といったものをデザインしていると考えています。

今回の旅は多くの人たちのニーズに応えるために実現させました。なぜならこれが私たち全員に意味をもたらすからです。こういった体験を提供することもデザインの一部です。具体的な何かの実践ではないかもしれませんが、この交流によってお互いから何かを学ぶことができると信じています。

ーその通りですね。私も今回の交流を通じて改めてデザインについて考え直す良い機会になっています。

そういえば、ZEPPELINのオフィスの壁に書かれている ”We Create Beautiful Worlds”(「美しい世界を創る」)って、最高ですね。ここに私なら “Again, Again and Again”(「何度も、何度も、何度も」)と付け加えます。

だって、これで十分ってことがないのですから。いつだってもっとよくできる。だからデザイナーはいつも不満足なのです。「わあ、これをやったの、すごい!もっとよくできるかしら?もっとスマートにできるかしら?もっとサステイナブルにできる?」っていつも考えているんです。

努力に敬意を払っていないというわけではないのですが、いつももっとできることがある、って思ってしまいます。

ー不満足な気持ちというのはアーティストにもある感情ですね。彼らは自分の作品を見ると、いつも何かを修正したり、ディテールを加えたり、変えたり、壊したりしています。

デザイナーも似ていると思います。でもアーティストの場合は自分の中にアートの表現を見出しますよね。デザイナーはタスクや問題やユーザーに注目して、どうやって助けることができるか、という風に考えます。

 
 
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ーなるほど。ではデザイナーとして、大きなデザイナー組織のCEOとして、今の最大の課題というのはどんなものなのでしょうか?デザイナーとして、組織の課題をどのようにデザインによって解決していこうとされていますか?

今、私たちデザイナーにとっての最大の課題は新しいビジネスを創出することです。美しい世界を創り出すことも、ものを創ることも、人を幸せにすることももちろんそうですが、今、デンマークにおけるチャレンジはビジネスを創ることです。

デンマークではデザイナーはビジネスのやり方を教わっていないのです。これは大問題だと思います。ただ最近では教育も変わってきて、ビジネスとデザインスクールのコラボレーションも増えてきていますし、そこにもっと私たちが貢献できる余地があると思っています。

ーありがとうございます。最後の質問です。本日お越しになっていただいて、ZEPPELINについてもっとも面白い、興味深いと思われたところはなんでしょうか?

私が最も面白いと思うのは、御社がデンマーク語で言うところの「moensterbryder」(「モインスターブライダー」)であるところです。パターンに縛られないというような意味です。

レーンを守って同じ方向に向かって進みがちなところを、みなさんはそのレーンに縛られない。みなさんは左に曲がったり、右に曲がったりしながら道を見つけていく。

例えるなら従業員の一人一人が、最終的に料理を美味しくするためにテーブルに何かを持ち寄るという考えを持っているように感じました。プロダクトというものは全てのメンバーとのコラボレーションがないと実現しません。

蛇足かもしれませんが、私から一つお伝えできるアドバイスとしては、クライアントに会った際、彼らの組織をどうすれば変えることができるかとか、ヒエラルキーを壊しましょうとか話してはいけません。そうではなく具体的な形として見せるのです。

例えば、クライアントの会社から5人招いて、何か違うことを試すことができる遊び要素のあるタスクを与えてみてください。結果を評価するのではなく、変化していくプロセスを自分たちで感じさせるのです。自分たちがどう変わったか、関係がどう変わったかを。

変えようとしてはいけないのです。変わることを支援をするのが私たちデザイナーの役目だとも言えると思うのです。

 
 
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ーとても深い考え方ですね。今日はありがとうございます。

英語で「Walk Your Talk」(「有言実行せよ」)と私たちは良く言います。ペラペラと延々しゃべらない(笑)。いいからやれ、と。みなさんはとても正しい道筋に乗っていると思いますよ。ご成功と幸運をお祈りします。

 
対談記事Zeppelin Inc.