事業のタネを生むのは「無償の愛」Vol.5

 
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人を幸せにする組織とは?

鳥越 事業の成長を望んだり、新しいものを作り出そうというとき、一番重要なのは「何のためにやるのか」だと思うんですが、そこがあまり語られない。それよりも、市場規模が何兆円といった話ばかり耳にするのは残念です。

勝屋 そう、マーケットがどうとかね。

鳥越 そこで、対談の最後のテーマとして、「何のためにやるのか」ということから見て、「人を幸せにする組織ってなんだろう」ということを勝屋さんにお伺いしたいなと。

勝屋 人を幸せにする組織、いいですね。まず前提として、人を幸せにするには、心があるチームをいかに作れるかだと思います。

鳥越 心があるチーム

勝屋 そもそも僕らは、この事業を何のため、誰のためにやっているんだっけ?という問いって心から出る言葉だと思うんですよね。

それがすごく大事。組織の中で自分の弱みをさらけ出せて、それに対して周りが「助けるよ」と集まる、これも心のつながりなんですよね。

鳥越 まさにそういう心からでる言葉が事業のど真ん中にあるべきです。

勝屋 結局のところ、そういう心があるサービスや製品が売れて行く気がしますね。ひとつわかりやすい例として、福岡にある古めかしいうどん屋さんの話があります。

鳥越 そういう話、いいですね。

勝屋 そのお店はいつも超満員なんです。ご家族でやっていて、お店に入ると席まで案内してくれるおばさんがまず優しい。

うどんを打っているお父さんがまた真剣でね。それで腰の曲がったおばあちゃんが、うどんを茹でるんですけど、その一連がね、愛なんですよ。

 
 
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鳥越 目に浮かびますね、お店の光景が。

勝屋 そのお店の何がすごいかって、うどんも美味しいんだけど、目に見えない空気感がいい。

この空気感というのがとても大事で、製品でもサービスでも目に見えないから難しいけど、心があるとそういう空気感が生まれるんですね。

鳥越 心がないのに無理やり作っても、作れるものではないですよね。

勝屋 そう!だから、社員のモチベーションを上げようとオフィスをカラフルにしたり、企業は色々とやるんだけどそうじゃない。

手法としてやるのではなく、経営者が心から社員の幸せを願って取り組むということが大事なんですよね。

鳥越 よく言葉では、ミッションやステートメント、ビジョンといったことを言いますが、本質的にその重要性に気付くことはとても難しい。そして心がある組織は、一体感やいい物が生まれたり、そこにいる人が幸せにもなれる。

勝屋 それはその組織にいる人々の心によるんです。

 
 

心でつながるチームだからできること

鳥越 勝屋さんのうどん屋さんのお話を聞いていて、思い出したことがあります。僕は新婚旅行で、一生に一回だからと奮発してハワイのとあるホテルに泊まったんです。

なぜそこを選んだのかというと、従業員の満足度や輝き度がすごく高いとグローバルで評価されていたからです。


勝屋 実際、行かれてみてどうでした?

鳥越 もちろん建物などのハードも綺麗なんですけど、一番感動したのは、ホテルのスタッフの方々の声がけなんです。

勝屋 声がけ。

鳥越 はい。ホテルの中を歩いていると、掃除の方や庭を手入れしている方、フロントの方もそうですが、10秒に1度ぐらいは誰かに会います。

そして、その時に必ず声をかけてくれるんですが、ただ「ハーイ」と言うだけではなく、「今日はどんな感じ?」とか、「タオルある?」「今日もいい天気だよね」なんて話かけてくれるんです。

 
 
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勝屋 うんうん。

鳥越 そうすると、なんだか自分がそこに居ていいんだという感じが湧いてきて、自然と心まで満たされるんですよね。ホテルに泊まって、あそこまで満ち足りた気持ちになることって初めてでした。


勝屋 それはすごい。簡単なことのようで、なかなかできることじゃない。

鳥越 そうなんです、ただの声かけだから、どこでだってやろうと思えばできる。けれども、実は一番難しいんですよね。

本当に毎回笑顔で声をかけられるので。毎日何回も。本当に驚きました。だからこそ多くのファンに支持されているんだなと思いました。

勝屋 そのホテルの人たちが心でつながったチームだから、みんなでできるんでしょうね。その場所が従業員にとって自分の人生を生きるような舞台になっているかどうかが大事なんだと思います。

鳥越 そこでなら、自分の弱みも素直に出せるような。

勝屋 そう、心にとって安心安全な場所。

鳥越 そういう場所なら自分の夢だって語れるから、心がつながるんでしょうね。そうやって、心という核が組織全体に浸透していく。

ただ、残念ながらそうではない組織もあります。個人的にはそこをなんとかしたいんですよね。一度でも気が付けばすごくいい感じなりますからね。

勝屋 業績も上がるしね。

鳥越 うちの会社も1人あたりの売上が2倍になりました。

勝屋 おー、すごい!みんな活き活きしてるもんね。

鳥越 これまで勝屋さんと色々やってきたことが大きいですね。カッチャマンポーズとか(笑)。

勝屋 やってたねえ!最近、50肩になってやらなくなったけど(笑)。

 
 

心でつながる組織には、「フラット」が必要


鳥越 一方で心のつながりって、まかり間違うとカルト宗教のようにもなってしまいますよね。

勝屋 カルト宗教の場合は、能力が高くなる、スピリチュアルが高くなると過信させるように持っていって、俺は何でもできると思わせてしまうことが原因なんだと思います。

鳥越 そういう面がありそうですね。

勝屋 エゴが生まれて、過信して傲慢になると自分でコントロールができなくなる。人間は誰しも、そういう部分は持ってます。僕だってたまにエゴに巻き取られて、目つきまでおかしくなるときがありますからね。

鳥越 祐子さん(奥さん)に指摘されて気がつく?

勝屋 そうそう(笑)

鳥越 カルト宗教などの組織はヒエラルキーを作ろうとします。教祖といった存在がいて、その下に幹部が連なるという階段を作る。それで思想レベルで支配しようとする。

勝屋 そうですね、そこには支配がありますね。

鳥越 その部分が勝屋さんの言う、心でつながった組織と大きく違う点ですよね。支配関係ではなく、フラットですよね。弱音も全部さらけ出して、心でつながるにはフラットであることが大事なんですね。

 
 
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勝屋 ヒエラルキーを作るかどうかも、結局はトップの人の心持ち次第。

鳥越 失敗してはいけないとか、弱音も出せない、誰からも何も指摘されないと、エゴの塊になっていってしまう。でも、私たち自身がそうでしたが、そういう組織だと壊れていってしまう。

勝屋 そういつかは破綻してしまうんです。破綻するまでの間もずっとしんどいまま。

鳥越 そういう組織ではなく、フラットに心でつながり誰もが幸せになれる組織で、いい物を作っていきたいですね。

勝屋 そういう組織ばかりになる世の中になることを祈っています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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