「お金はそもそも、仮想なんだ」Vol.3

 
BANNER-1920-1080-vol3.jpg
 
 

中国で人気の理由と、分裂してしまったブロックチェーン


仮想通貨が中国で人気なわけ

 

鳥越 ビットコインといえば、いま中国で特に人気です。中国で人気の理由というのを教えてください。

 

本間 中国には外貨の持ち出し制限と持ち込み制限があります。そのため、例えば私が持ち込むのはもちろん、中国のお金持ちが人民元を国外へ持ち出すのも大変です。

それがビットコインであれば、1億なり10億なり100億なり、簡単に送ってドルやユーロなどに変換出来てしまうのです。

 

鳥越 そうやって規制をくぐり抜けていると。

 

本間 そうです、中国で仮想通貨が人気の理由はキャピタルフライト(資本逃避)のために使うということが1つあります。もう1つの理由が、中国はコンピューターサイエンスが非常に強いということ。

 

鳥越 国を挙げて高めようとしていますね。

 

本間 世界のコンピューターサイエンスの大学ランキングが発表されたんですが、1位が中国の清華大学でMITとスタンフォードを抜いたんですね。ちなみに東大は91位です。

中国はとにかくコンピューターサイエンスに強いんですね。それとも無関係ではないと思いますが、マイナー(マイニングする人)の80%が中国人なんですよ。

 
 
IMG_0292.jpg
 
 

鳥越 そうなんですか。

 

本間 中国人は起業精神がすごくあって、「ビットコインは儲かるぞ、マイニングすごいぞ」みたいな感じで、次々参入していますよ。

なかでもジハンウーという人物がマイニングの巨大な企業を作り、売り上げは4000億円を超えています。彼は26歳で事業を始めて、いま32歳という若さです。それでもマイニング量で世界最大を誇る巨大企業を作り上げました。

 

ダオ事件とICO

 

鳥越 ダオ(the Dao)事件、というのがありますよね。ICO(イニシャル・コイン・オファリング)に絡んだ事件です。

ICOというのは私の観点から言うと、通常はIPO(新規上場株式のこと:イニシャル・パブリック・オファリングの略)で株式を公開する形で資金を集めるのですが、ICOは仮想通貨を独自に発行します。

独自の仮想通貨を発行した上で、それを公開してみんなが買えるようにして、みんなが売買できるようにするというのがICOの基本です。それで中国のダオという会社のICOで事件があったんですよね。

 
 
IMG_0361.jpg
 
 

本間 ICOというのは仮想通貨の技術を応用して、オレオレコインを売るようなものなんですよ。

「俺がこんな素晴らしい事業をやるためにこういうコインを作るから、みんな買ってよ」というようなものですから、私の見解としては結構とんでもないものではないかと思っています。

ほとんどが約束通りにはならず、およそ95%が詐欺になっているのではないかというのが実感です。

 

鳥越 そんなに詐欺が横行しているのですか。

 

本間 ダオはその先駆けと言いますか、2016年に資金を集めるためにICOを行いました。そのダオというICOプロジェクトに投資して通貨を購入すると、投票権を持てるというプロジェクトでした。

約11,000人の投資家から150億円もの資金を集めました。

 

鳥越 かなりの額が集まりましたね。

 

本間 ところが、ハッキングされたんです。集めたお金を吸い取った人がいたんですね。150億円集めたんですが、約50億円抜きとられてしまった。

 

鳥越 抜き取られた分はどうしたんです?

 

本間 そこで何をしたかというと、その取引を“無かったことにする”ために、「ハッキングされる前まで取引を巻き戻してしまえ」ということをやって、ブロックチェーンを本当に巻き戻してしまったのです。

 

鳥越 なんと。

 

分裂してしまったブロックチェーン

 
 
IMG_0317.jpg
 
 

鳥越 巻き戻したというのは、過去のブロックをいじった、ということですか?

 

本間 そうなんです。ハッキングされた取引を無効にしてしまうということをやったわけです。ただ面白いのは、巻き戻して新しい取引のブロックだけを生かすはずが、ハッキングされた後の取引も生き延びてしまったんです。

本来死んで無くなってほしかった、ダオのハッキング取引が残っているオリジナルチェーンが生き延びてしまったんですね。

鳥越 なんでそのようなことが起きたのでしょう?

 

本間 そこがグッドポイントで、ビットコインであれば1週間かけて難易度を調整するので、たとえ分岐したとしても、元々のチェーンはコンピューティングパワーが足りないため承認されず、どんどん価格も暴落していって、段々死んでいくんです。そういうことを思い描いていました。

 

鳥越 ところが、そうはならなかった。

 

本間 そうなんです。ダオのICOは「イーサリウム」というビットコインとは別の仮想通貨上で行われていたのですが、イーサリウムは難易度の調整が早いんですね。

そのため、無くなって欲しい元々の取引のチェーンが弱いながら生き延びてしまった。そんな状況の間に、どこかの取引所がそのチェーンを使って取引をし始めてしまったのです。

 

鳥越 誰かが再び生かしはじめてしまったんですね。

 
 
IMG_0366.jpg
 
 

本間 その取引所が「イーサリウムクラシック」という名前で取引を開始して、価格がついてしまいました。そうして、本来死んで欲しかった仮想通貨が生き延びてしまいました。

 

鳥越 確かビットコインも8種類くらいになってますよね?

 

本間 ビットコインも1年くらい前に、「ビットコインキャッシュ」という別の仮想通貨が生まれてしまいました。それも長い話があるんですが、ある対立があって分岐しました。

本当だったらビットコインキャッシュには生き延びて欲しくなかったんですが、なんとか生き延びてしまった。そういうことは仮想通貨ではよく起こっています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Zeppelin Inc.